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Netflix『グッドガールズ 崖っぷちの女たち』GOOD GIRLS シーズン1の感想

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And the good girls go to heaven, bad girls go everywhere

良い子は天国に行けるが、悪い子はどこにでも行ける

by Meat-Loaf

Meat Loaf: Good Girls Go To Heaven (Bad Girls Go Everywhere) [Live] - YouTube

このドラマを観はじめたのは、私のなかで特別に思い入れがある作品であり、何年か前にNetflixに加入したきっかけでもある『オレンジイズニューブラック』の最新シーズンを観終わってしまった8月初旬。オレンジ~は基本的に年に一回、6月か7月ごろに新シーズンが配信されるのがこれまでのパターンだった。ああまた一年待たなければいけないのか...という海外ドラマ欠乏症の離脱症状?を収めるべく、新しいドラマ(できればコメディで、内容は重すぎないけど皮肉が効いていて、飽きないやつ)を探していたときに「後で観る」リストに入れたきり存在を忘れていたこのドラマを発見したのであった。ここまで前置き。そんな経緯からなんとなく見はじめたドラマだったけれど、なかなか良かった。

概要

『グッドガールズ 崖っぷちの女たち』(原題:Good Girls)は2018年放送のアメリカのクライムコメディ・ドラマのTVシリーズ。2018年2月にアメリカのTV局NBCで放送され、2018年7月からNetflixで国際的に配信されている。

Amazon プライムビデオで配信されているTVドラマシリーズ『グッド・ガールズ!~NY女子のキャリア革命~』(原題:Good Girls Revolt) とは無関係です。

スタッフ・キャスト

制作 ジェナ・バンズ

出演 クリスティナ・ヘンドリクス(ベス・ボーランド

   レッタ(ルビー・ヒル

   メイ・ホイットマン(アニー・マークス)

   レノ・ウィルソン(スタン・ヒル

   マニー・モンタナ(リオ)

   リディア・ジュリエット(サラ・ヒル

   イジー・スタナード(セイディ・マークス)

   マシュー・リラード(ディーン・ボーランド

   ほか

予告編

 

あらすじ

 郊外に住む3人の母たちはそれぞれ異なった事情から経済的に厳しい状況にあった。シングルマザーのアニー(メイ・ホイットマン)は一緒に暮らす子どもの親権を巡って元夫から訴訟を起こされるはめになり、弁護士費用の工面に困っていた。腎臓疾患で移植待ちの娘をもつルビー(レッタ)の場合は、多額の医療費が家計を圧迫していた。アニーの姉のベス(クリスティナ・ヘンドリクス)は自動車販売会社を経営する夫を支える専業主婦だったが、夫の浮気と多額の借金の存在が発覚。八方ふさがりな現状を打破すべく、勝手を知っているアニーの職場のスーパーにおもちゃの銃を構えて強盗に入る。ただのスーパーの金庫に予想外に多額の札束が保管してあることに驚く3人。実は地元のギャングがドラッグで稼いだ金の資金洗浄に使っていたのだ。ギャングの息がかかった金を盗んだ3人に思わぬトラブルが襲いかかる...

 感想

 『ブレイキング・バッド』×『デスパレートな妻たち』+貧乏風味らしいよ

 ...というのはデータベースサイトIMDbのユーザーレビューより。他には「映画『テルマ&ルイーズ』っぽい雰囲気」と言ってる人も何人かいた。『デスパレートな妻たち』は未見なのでわからない。『テルマ&ルイーズ』とは「女性が主導権を取り戻すために盗みをする」というコンセプトの共通点はあるものの、逃避行やロードムービー的要素はないからあんまりかな。『ブレイキング・バッド』の初期シーズンのころの、やることなすことがいかにも「はじめて重大な犯罪に手を染めた素人」くさくて、観ているこっちが落ち着かないあの感じに近い。かくいう私もドラマを観すぎているただのパンピーなんだけれど。「医療費がかさんで違法な金儲けに手を出すしかない」「身内に警察官がいて隠しとおさなければならない」「一般市民なのにギャングと渡り合う必要あり」「真面目だったキャラが犯罪の快感にのめり込み、モラルがないように見えたキャラの方が引いてる」など細かい設定も似てるっちゃ似てる。この類似点が気に入らないIMDbレビュアーのなかには、"Breaking Bad" をもじって”Imitating Bad"というタイトルを付けている人もいたりして笑ってしまった。Imitating Bad, 訳すとしたらパクリ・バッドかな。主役が子育て世代で生活感ありまくりなズッコケ3人組という脚本のおかげで、露骨なパクリというほどではなく楽しめた。

 犠牲を払うのをやめ、立ち上がる女性への讃歌

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オーシャンズ8』がひたすらゴージャスで浮世離れした、「復讐」のためだけに宝石を盗む女たちなら、『グッドガールズ』は踏みつけられる足をはねのけ、力を取り戻す途上にある女たちの物語なのだ。彼女たちが盗みに入ったのはメトロポリタン美術館じゃなくて警備がガバガバな郊外のスーパー。「すべて奪われるのを黙って見てられない 自分たちで乗り切るの(ベス)」「すこしでもいいから私の話を聞いてくれないわけ?(ルビー)」という台詞は彼女らがおかれた状況を代弁するものである。覆面を被って強盗するスリルを味わっても、どん底の状況から一夜にして抜け出せるわけではない。強盗のその後も続いていく人生の話として良かった。

 I'm sorry for...

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強盗をしたあとも医療費がまかないきれず、ダイナーで働きつづけるルビーは客の男子高校生とその母親に軽いやけどをしたせいでクレームを入れられ、店長に謝罪を強いられる。長くなるので割愛するが、この子どもがスポイルされて育った、暇つぶしに店員に絡む「いかにも」なドラ息子で神経を逆なでするのだ。我慢の限界に達したルビーはこの台詞で一矢報いる。

「お気の毒に。あなたは品性にかけた愚か者で、サービス業の人に敬意を払えないかわいそうな人よ。自分の子供を疑いもせず他人に責任を負わせるなんてね。バカ息子を持って気の毒だわ。こんな表面の火傷は軽傷よ。ここに一緒に来てた友達もあなたと同じくらいバカで本当に気の毒よ。こんな奴らが国の将来を担うなんてあきれるわ。言いたいことは以上。」

日本語の台詞で書き起こすとなんだか高飛車な感じだが、信じてほしい。けしてそんなことはない。ルビーはこの直前まで実に忍耐強く接客していて、シーズンを通じて(比較的)良心を持ち続けたタイプだけに、一度だけ発したこの台詞が生きるのだ。派手なアクションもなにもないけれど、名シーンだったと思う。ちなみにこの5秒後に解雇される。

アニー可愛いよアニー

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真面目なしっかり者で正統派ゴージャスな長女に比べ、小柄でおしゃべりなコミックリリーフポジの次女。この辺の長女・次女像はどこの国でも共通なのか?とおかしかった。シーズン前半のエピソードではやることなすことがすべて裏目に出るんだけど、それでも好きにならずにいられない魅力的なキャラクター。彼女にはまさにHot messという言葉が似合う。ダークリップとグリッターのアイラインという野暮ったさスレスレだけどおしゃれに見えるメイクもまた良い。アニーはフェムタチっぽい雰囲気もあるし、レズだったらけっこうモテると思うんだけど。レビューでは「アニーがイライラする」って書いてる人を何人か見かけたけど、正気か?と思ってしまった(盲目)そういえばジェシー・ピンクマン(ブレイキング・バッド)もめちゃくちゃ可愛いと思ってたな、私...

 設定に多少、改善の余地アリ

ギャング頭のはずのリオはフットワーク軽くベスに会いに来るけど、ギャングの元締めって捕まるのを恐れるはずだから自分から取引先に出向いたりしないで手下を使うんじゃない?とか

最終話でとっさに人質のふりをして逃げるけど、監視カメラの記録からバレなかったのかな?とか

そもそも職場を強盗するのって声や見た目の特徴ですぐ身元がわれそうで最悪と思わなかったのかな?とかとか

疑問点はないわけでもない。

シーズン1の最後はベスがリオと夫に銃を構えて終わる。次のエピソードに含みを持たせた典型的なクリフハンガーなので当然シーズン2もやるんだよね?と思って待ってる。アニーとルビーの金欠は解消されたからあんまりブレイキングバッドする動機がないし、特にルビーの場合は警官の夫にお金の出所がバレてるので足を洗う以外に今後の選択肢は残されていないんじゃないかと思う。前のめりで危なっかしいベスをアニーとルビーが止められるのか?気になることが多すぎるので次シーズンも観るよ。

 

ひそかなお気に入り度 ★★★☆☆
ご飯中に気楽に見られる安心感 ★★★★☆  
打ち切りにならないか心配度数 ★★★★☆