最近あなたの暮らしはどう

ドトールの俗っぽさが好きだ

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ドトールの俗っぽさが好きだ。
ドトールは数あるコーヒーチェーンのなかでも有名で数こそ多いが、とくに目立った存在ではない。スタバでスムーズに注文するには「キャラメルマキアートデカフェオールミルクベインティ、ルーモスiogaあspどrq光よ」ぐらいの呪文は最低限覚えておかなければいけないが、ドトールはサンドイッチの名前すら「ミラノサンドA、B、C」とそっけない呼び方をしている。カフェのメニューで頻出する「アンチョビ」「バルサミコ酢」「フェンネル」などの横文字があなたのボキャブラリーになくても(私はない)、好きなアルファベットを選ぶだけで注文が完了する。洋食になじみのない世代の人でも注文しやすいのだ。ラージとかトールとか言わなくても「普通のサイズの」と言えばなんとなく通じてしまいそうな寛容な雰囲気がある。それに、中高生はもっと安上がりに済ませたいためマックやサイゼリアに流れ、ノマドワークをしたい人には電源がないために不便なのだ。それゆえ混みまくることはあまりなく、平日は外回りのサラリーマン以外には暇そうにしている人しかいない(頭の中はいそがしいのかもしれない)。結果的にドトールはコーヒーチェーン界の公民館的存在に落ち着いているのである。


喫煙ルームに入ると聞こえてくるおじいさんたちの声の音量は、たいてい不必要にデカい。ここで「不必要に」と言ってしまうのはたぶん失礼で、お互いの耳に届くように、相手の声が聞こえてるという意思表示のために声を張り上げる現象なのだけれど。ともかく。


「岩田さんここワイファー飛んでるかね」
なんど耳をすませても彼らはWi-Fiをワイ→ファー↑と呼んでいた。
ソフトバンクのワイファーが飛んでますわ」
岩田さんと呼ばれた男性もつられてワイ→ファー↑と呼ぶ。
「うちの携帯は二つ折りだから分からんのですわ。」
トミー・ヒルフィガーのトレーナーを着ている男性が答える。
仮に田中さんとしよう。田中さんはおそらく、今みたいに10代キッズの間でトミーのショルダーバッグやらTシャツやらが流行るずっと前からこのトレーナーを持っている。今このブランドが流行してるのは90年代ファッションがトレンドになっているからなので、田中さんは少なめに見積もっても20年はこのトレーナーを愛用していることになる。ま、息子や孫からお下がりで貰ったのかもしれないけど。


生きている間に流行がひと回り以上する人生について考えていた。一般的にファッションの流行のサイクルは20年周期だと言われている。待てよ、そうすると2020年代には'00年代ファッションが流行するのでは。そもそも00年代のファッションは80年代のリバイバルなのか?と考えたけれどこれは違う気がする。


ニーハイブーツ、お尻にでっかくロゴが入ったココルルジーンズ、やたらと股上が浅くてちょっとお尻の大きい女の子がしゃがむとケツの割れ目が見えるけどなぜか全然セクシーじゃないパンツ、みんなが倖田來未みたいなB系ディーヴァの服装をしたがって、ギャルといえばハクビシンみたいなノーズシャドウと黒肌で、オレンジレンジが今の三代目ナントカソウルブラザーズくらいメジャーな音楽で、「燃焼系〜アミノ系〜」の歌が流行って鉄棒で無謀な真似して骨折する小学生がいたころ。


そんなぁ。アレが流行るのかいな。子どものころ目にしていた奇ッ怪な風景を再び目にするのには、まだ心の準備ができていない。