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「疑惑」「『ゲイ』でもいいじゃん」成宮寛貴さんの引退発表後にネットで見る感想にモヤモヤする

 俳優・成宮寛貴さんがフライデーで二週にわたって報じられた記事を受けて引退を発表した。

www.huffingtonpost.jp

 

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 わたしはここで、コカインがどうとか、元の記事を出した週刊誌の不買運動を、などと言うつもりはない。まず、記事を読んでないので事実関係はよく分からない。読んでいたとしてもホントのホントのことは分からないでしょう。上記でリンクを貼ったハフポストの記事には「検査をして陰性だった」と書いてあるが、万が一今後起訴されたとしても、世間の声とかワイドショーではなく司法のもとで裁かれてしかるべきだし、フライデーはみんなが知ってる講談社が出してるのでたとえ雑誌一個廃刊しても痛くもかゆくもないでしょうという気持ちである。ごにょごにょ。

ただ、声明の「セクシャリティな部分もクローズアップされて」という部分について目にした反応(今週末はひきこもってるので主にtwitterで見ました)のなかで、なんというかあんまりにも、あんまりだという気分になったものがあったので、声明の内容への反応で問題だと思ったものだけに絞って書きたいと思います。

 

ここは重要なんだけれど、実際には彼は「ゲイです」と言ったわけではなく、あくまで「セクシャリティについて触れてほしくない」という趣旨のコメントを出しただけです。

 

「事実発覚で引退!衝撃!」という感じの反応

 

こういう報道が「自分のプライバシーが人の悪意により暴露され続ける」ことそのものなのではと思います。よく見ると、見出しの写真は胸元をはだけた露出度の高い写真を故意に使っていて印象操作とも思えてしまいます。

 

「イケメンで家族思いだしゲイでもわたしは大丈夫!」という感じの反応

ゲイでも「大丈夫」ってなんだよ

 

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重要ですがカミングアウトしたわけではありません(二回目)

これはネットで散見された言説。個別のツイートを挙げるつもりはないけど、付けられていたタグから察するに「ある程度ファン」「引退が残念」という人もいるのかなという感じだった。わたし個人も引退は残念です。でもさ、やっぱり「大丈夫」って簡単に言う人の気持ちってなに??と思ってしまう。「~こういう風に思う気持ちが理解できない」なんて他の人を切って捨てるような言い方は簡単にしてはいけないと思うけれど。

 

人のセクシュアリティは「許されて」「だれかに太鼓判を押されて」はじめて公にできる、というような類のものではなくもっとデリケートな問題です。あなたが彼のセクシャリティを「許すから成宮寛貴は引退しなくてもいい」というものではなく、どこまで公にするかは当人の意志だけで決められるものです。「セクシャリティに問題があっても、問題ではない」という人さえ見ました。

 

「〇〇でもいい人だから問題ない」というのはこの"〇〇"の部分に他の言葉を入れてみると分かりますが、わりとガクッと来る感じの感想です。「職場の同僚は外国人で、日本語になまりがあるの。でもいい人だからそれは関係ないよ」とか「あの人は識字障害なんだって!でもいい人だけどね」のように。

他と違うある属性を持つ人が「いい人」かどうかはあなたが今ここで認めないといけないの??本当に?

本当に根本的なことを言えば、私たちはみんなひとりで、他人どうし、心の奥底まで覗き込んだり理解したりできないのは至極当然のことなので、自分にとって「いい人」か「いやな人」かを主観に基づいて「とりあえず感じ取る」しかないです。そんなの私だって心の中では毎日線引きしてます。たいしてなにも考えずに。

でも、〇〇という属性を、私は認める、なんて勝手に声に出して表明されても困っちゃうんですよ。だって、認められても認められなくても私たちはここに存在してるんですもの。ていうか言われなくてもいいと思ってるもん(ごにょごにょ)

 

じゃあどう反応したらよかったの?

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アウティングという言葉があります。まだあまり知名度は高くありませんが、Wikipediaではこのように説明されています。

アウティング (英語: Outing)はゲイレズビアンバイセクシャルトランスジェンダーLGBT)などに対して、本人の了解を得ずに、公にしていない性的指向性自認等の秘密を暴露する行動のこと。

まず大前提として、公にしたくなかった秘密が「複数の知人に裏切られた」ことにより了解を得ずに日本中に明らかになってしまったことが、引退を決意した一因であることが声明で言われていますね。このことから、「アウティング」にあたるのでは?と思います。成宮さんは俳優として若いころからのキャリアがあり、知名度もありますのでどんなニュースが出たところで反響を呼んでしまうという事情の違いもあるとは思うのですが...好奇の目を向ける、アリか・ナシか、と勝手に感想を述べる、悪いことをしてないならもっと堂々としてればいいのに、というなど....みんなほっとけよ~~~~お口チャック~~~~頼む!もう少しだけでいいから大人の反応を~~~~という気持ちでいっぱいです。ま、アクセス稼げるんでしょうね。

 

急に不特定多数に暴露されるアウティングに苦しむ人は多くいます。今年の夏には一橋大学ロースクールの学生がアウティングを苦にして転落死した悲しいニュースもありました。

 

www.buzzfeed.com

 

今回の件は週刊誌の記事で明らかになったわけですが、身近なひとから同性愛者や両性愛者であることを急に打ち明けられた、または第三者から暴露されたとき、びっくりしてしまうのは当然だと思います。親戚や知り合いのなかにひとりでもLGBTの人が居れば驚きはそれほどではないかもしれませんが、「最初のひとり」を発見したときは「ドラマや小説の世界」の話があなたの実生活に飛び出してきたような気がしてしまうかもしれません。「第一村人発見!」みたいな感じで(笑)。でも、ことさらに優しい言葉をとっさに絞り出して言う必要はないとわたしは思っています。

「ふぅん、そうなんだ」って平静な対応をするだけで楽な気分になる当事者はたくさんいます。なにか仕事や家族のうちあけ話なんかをされたときとおなじように。

 

少し前ですが増田で読んだ「アウティングの現場に居合わせた体験」をつづった文章が良かったので載せておきます。

anond.hatelabo.jp

 

クィアニュースを扱っているブロガーのみやきち日記さんの記事も貼っておきます

www.ishiyuri.com

 

まとめとわたしの感想

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セクシュアリティに限らず、個人の秘密にしておきたい情報をどこまで公にするかどうかは本来ならその人の手の中だけに握られているはずなのです。「セクシャルマイノリティが生きやすい社会」になったとしても、その属性を明らかにするかどうかはその人自身が決めることだと思っています。まずは、非常にプライベートな事情を面白おかしく暴くような社会ではなくなってほしいと願ってやみません。

 

2016年の日本でも、セクシュアリティを明らかにされるとでかでかとスポーツ新聞の見出しになってしまうということを目の当たりにして、22歳の小娘が言うのもヘンな話ですが、「成熟してる」と言うにはまだ道のりが遠い社会だと感じてがっかりしてしまいました。知ってたけど。

 

SNS大好き、拡散されているニュースには反応してしまう、有名な誰かのゴシップが好き、自分と違うだれかのことが面白おかしく書いてあるとそれをシェアして、バカにしてしまう、そんなミーハーなわたしたちの生活が彼を追いやったのだとしたら、悲しい。