最近あなたの暮らしはどう

00年代ファッションがもはや懐かしい『ミーン・ガールズ』を観てたまにはピンク色の服を着ようと思った感想

 じゃじゃん!今更言えない「実は見てなかった映画」シリーズです!まぁ私は超映画マニアってわけじゃないから、他にも観てない映画はいっぱいあるよ...。ところで『ミーンガールズ』と言えば「ピンク、ピンク、とにかくピンク」って感じのイメージ。私はといえば、ピンク色、スカート、フリル、レースは通ってこなかったかも。わりとガチガチのシス女性なのに「女の子っぽくない」と言われてた10代の終わりごろを思い出しそうでなんとな~く避けてた超人気作品をいまさら観て見たけど、しっかり楽しめたよ。このころのリンジーローハンは童顔で可愛いな~。アマンダ・セイフリッドも可愛い~~。00年代前半のファッションも今見るともはや懐かしい~と萌えてしまった。ていうか「萌え」も、もはや死語かな...

概要

予告編


Mean Girls - Trailer

 

f:id:syrup23g:20181116111327j:plain

 原題 "Mean Girls" (2004年のアメリカ映画)

 監督 マーク・ウォーターズ

 脚本 ティナ・フェイ

 製作 ローン・マイケルズ

 出演 リンジー・ローハン(ケイディ・ヘロン)

    レイチェル・マクアダムス(レジーナ・ジョージ)

    アマンダ・セイフライド(カレン・スミス)

    レイシー・シャベール(グレッチェン・ウィンナース)

    ティナ・フェイ(シャーロン・ノーバリー先生)

    リジーキャプランジャニス・イアン

    ダニエル・フランゼーゼ(ダミアン・ライ)

    ジョナサン・ベネット(アーロン・サミュエルズ)

    ほか

あらすじ

フォーチュン・クッキー」でブレイクした全米ティーンのアイドル、リンジー・ローハン主演の学園シニカル・コメディ。アフリカ暮らしが長く、高校で初めてアメリカの学校に入学したヒロインが、学園内に存在する様々なルールに戸惑い、いつしか学生同士の派閥対立に巻き込まれていくさまをコミカルに描く。監督は「フォーチュン・クッキー」のマーク・ウォーターズ。脚本は、女優業の傍らTV「サタデー・ナイト・ライブ」のメイン作家としても活躍する才女ティナ・フェイが担当。ちなみにタイトルの“ミーン”とは“意地悪な”という意味。
 ケイディ・ハーロンは両親が動物学者だったことから、15歳になるまでアフリカのジャングルで天真爛漫に育ってきた女の子。16歳にして初めてアメリカの学校に通うことになったケイディ。それまでは自分のことを“普通の女の子”と思っていたケイディだったが、初めての学園生活は右も左も分からず、戸惑うことばかりで周囲から浮きまくり。しかし幸いにもすぐに2人の友だちができ、ケイディは学園のはみ出し者的なその2人から色々なルールを学んでいく。そんな矢先、ケイディは学園でもっとも幅を利かせた女の子3人組に気に入られ、彼女たちのグループの仲間入りを果たすのだが…。

 

映画 ミーン・ガールズ - allcinema

 感想

 リンジー・ローハンって才能あったんだよね(遠い目)

f:id:syrup23g:20181115223512j:plain

 保健体育の時間をサボって噂話

転入先で話しかけてきたのが「はみ出し者」のジャニスとダミアン。ジャニスはゴス(というかエモ系?)女子でダミアンはゲイ。転校生のケイディに親切にも「食堂で座るグループの勢力図」を渡し、ランチでは一緒に座ろうと誘ってくれる。絶対この2人と仲良くなった方がこの先の学校生活で安泰だろうに、学年の超人気女子グループ、通称プラスティックスのほうに吸い寄せられていくケイディ。わ、若さゆえの過ち~と思うけれど、このプラスティック・ガールのボス、レジーナ・ジョージに気に入られ、取り巻きとして認められる。好きな男の子が被ったので、友人のふりをして陥れようとするはずが、溶け込みすぎて気づいたら自分が傲慢なミーン・ガールになっていた...というお話。言ってしまえばディズニーチャンネルの人気スターだったリンジー・ローハンのために作られたアイドル映画だったと思うんだけど、ケイディが小生意気な娘っ子になっていく描写も手加減がないし、まわりの人物たちはコメディコメディしてて、展開が飽きさせないところがただのティーン映画と一線を画していていい感じ。思いを寄せる男の子とは適度に紆余曲折がありつつ最終的に100%ハッピーエンド、とか学年で嫌われてるのに顔と知名度が抜群ゆえミスコン的な催しでうっかり優勝してしまう、とか「そんなうまくいくわけあるかい」と突っ込みたくなる「お約束展開」は多少あるけれど、いまでもこの映画の人気が健在であることは頷ける。

f:id:syrup23g:20181116125757j:plain

「セックスしたらクラミジアとSTDに罹って死ぬからな!するなよ!絶対するなよ!」

f:id:syrup23g:20181116130404g:plain

「そのウィッグ何の毛で出来てるの?w」「お前の母親の胸毛だよ」

スマホがないので悪口はアナログに

f:id:syrup23g:20181115185357j:plain

アイコニックな悪口ノート、通称”Burn Book” 

 

f:id:syrup23g:20181116122314g:plain固定電話のキャッチ機能を利用して陰口は巡り巡る

 

 スマホがないので悪口はピンク色のBurn Bookに、お互いの陰口は家の固定電話で...さすがに15年ぐらい前の映画なので、テクノロジー的には隔世の感がある。インターネットどころか折りたたみ携帯電話も出てこないよ。これがもう少しあとのティーンドラマになるとハンナモンタナ、gossip girl、さらに飛んで13の理由...とどんどんややこしくなるわけです。この頃は盗撮画像やらなにやらがインターネット空間に永遠に漂ったりしないからいいね。この映画で面白いのは口からついて出る悪態を”Word Vomit"と表現してるところ。直訳するなら「言葉のげろ」。「私はレジーナのことを憎むと同時に好かれだがった」という言葉のとおり、嫌いになればなるほど相手に執着し、相手をコピーし、尊大な部分がどんどん似てくる。そんな上京での止められない悪口の奔流を「『言葉のげろ』が出そう」と言う台詞にはなるほどと思った。願わくばゴミじゃない言葉を語れる人間になりたいね。なかなか難しいけど。

私があの子になれなくても

ここですこし昔の私の話を。大学で英文科に所属していた19歳ごろの私は「普通の女の子たちとは違うから」と本気で信じていた。「違う」という直感がどこからくるのか深く掘り下げることもなく。中堅私立大学の英文科というのは体感で女子2対男子8ほどである。講義室はうら若き女子たちが圧倒的な割合を占めている。みんなが着ているファッションはきれいめカジュアルで、トレンドのシルエットをとりいれつつ、女性らしさを強調した感じのふんわりした色使い。よく見る色はミレニアルピンク、ミルクティーみたいな淡いブラウン、デニムブルー、ワイン色。雑誌の系統でいうならnon-noとかMORE系。そんななかでひとり蛍光色のズボンを履き、マニックパニックで髪を赤く染めてた私は浮きまくっていたのである。周りからちょっと浮いてて、友達も数人しかいなくて、これといってやりたいことも見つからなければ洋服も本当に似合ってるのかよくわかってなかった私にとって「あの子たちとは違う」と学年の女子をやや下に見ることでアイデンティティを保ってたってわけ。そのあと数年かけて、「実は女も男も両方好きになるじゃん」と遅まきながら自分の傾向を発見し、自分のために化粧品選んだり似合う色の服をあわせるの楽しいな~と「他人から自分の心地よさ」基準で装いを選ぶようになったことで「あの女の子たちとの違い」を誇りにすることはなくなった。今は自分のこの服は好きで着てるんだから彼女たちの装いだってそれはそれでいいじゃん、という気持ち。価値観がぴったり一致しなくても、無理に仲良くしなくても、彼女らには彼女らの世界観があり、趣味があり、生活があるという想像力を持って女同士尊重すればもっと過ごしやすくなるということを知った。長くなってしまったけどリンジー・ローハン演じるケイディが学内ミスコンの表彰台でティアラをちぎって(!)会場にいる誰もがクイーンだと称賛するシーンにはそんなことを久しぶりに思い出す力強さがありました。

f:id:syrup23g:20181116123343g:plain

私には全員がクイーンに見えます

ジェシカ・ロペスのドレスすごく素敵

エマの髪型も凝ってて可愛らしい

だからこんなもののために悩むのは間違ってる

ただのティアラなんだから...分けようよ

クイーンの王冠の一部をグレチェンに 

ジャニス・イアン

そして背骨を折っても輝いているレジーナ・ジョージに

ここにいる全員にも(ここでティアラの破片をばらまく)

 「スクールカーストや校内の人気なんかとるに足らない、ひとりひとりが素晴らしいし、お互いを認め合って、自分の内面に向き合うべき」というメッセージを発している力強いシーンだと思います。こういうスクールカーストを否定して個性を重視する「みんなちがってみんないい」的な思想って00年代前半のエンタメ界隈だとまだ希少だった気がするんですけど(ハイスクールミュージカルやgleeはまだ出てこないし)、『ミーンガールズ』はその点で先進的な例だったのかもしれません。(ただ野暮なこというとあのティアラの素材ってどうなってんのさ...コンビニのちぎりパンかよ...)

【おまけ】00年代ファッションはHIT & MISS

 昨今のリバイバル旋風の影響で私もすっかり80年代、90年代ファッションに夢中。カラフルで、大胆不敵で、それでいてちょっとグラマラスなところが可愛いんだもん。それにくらべて00年代はどうでしょうか。私は93年生まれなので物心ついたころにちょうど00年代に突入した、いわゆるミレニアル世代なのだ。自分が小、中学生のころに流行ってたファッションって記憶があるぶん懐かしさはあるけれど、正直かなり妙ちきりんだったような気がする。というわけで勝手にファッションの感想も書きます。

f:id:syrup23g:20181115222455j:plainこれは普通に可愛い!土っぽい色合いのキャミドレスと胸元のジュエル(?)のギャップがいいね。アマンダはなんでも似合うね~。なぜKなんだろうと思ったけど普通にキャラクターのイニシャルだった。おバカ可愛いモブ...

 

f:id:syrup23g:20181115192454j:plain

ちょっと小さいけど、左上の壇上に立ってるジャニスちゃんです。こういう恰好の子、いたいたw ハイカットスニーカーに謎のボーダーハイソックスを合わせる感じね。今見るとダサい...当時はコンバースのハイカットが一番おしゃれなスニーカーだと思ってました。まあコンバースは今でも定番だけどね。

f:id:syrup23g:20181116132532j:plain

トイレでボッチ飯のリンジー・ローハン...じゃなくてケイディ。マルチボーダー柄のシフォン素材はいまでもこのまま着れそう。リンジー・ローハンって転落した元子役の典型的な例だと思う。演技の才能もあったし、顔も素朴な魅力にあふれていてかわいいのにこのあと唇にやりすぎなくらいヒアルロン酸打っちゃうし、コカイン吸入写真が報道されるし、飲酒運転で法廷に呼び出されるし、事実上、女優としてのキャリアは終わってしまいました。もったいないなぁ、2018年現在に活躍してる才能ある俳優たちも無理しない程度に末永く活躍してほしいものだわとしみじみしたところでこの記事も終わります。

 

 

 

ぼっちクリスマスだけどなにか?全編iPhoneを撮影したトランスジェンダー映画『タンジェリン』の感想

f:id:syrup23g:20180921153857j:plain

最近クイア映画を見てないなあ、そろそろ摂取(?)しておかなければと思っていたところ、Netflixに上がっていたのでクリックしてみた。ときどき「ヘテロヘテロヘテロ!恋愛!感動!性愛!家族の絆!」みたいなメッセージを打ち出した映画やドラマばかりが世間に溢れ返ってるような気がして勝手に疲れてしまう。疲れてしまうと言ってもそんなに大げさなものではなく「あぁ、またか」程度の「慣れている疲れ」なんだけど。たぶん心の余裕がないのだろう。心の充足は胃袋を満たしてから、という格言をいま思いついたので天下一品いこうかな。

 概要

原題 "Tangerine"  2015年のアメリカ映画

監督 ショーン・ベイカー

脚本 ショーン・ベイカー

制作 マーク・デュプラス

撮影 ショーン・ベイカー

編集 ショーン・ベイカー

出演 キタナ・キキ・ロドリゲス(シンディ・レラ)

   マイヤ・テイラー(アレクサンドラ)

   ラズミック(カレン・カラグリアン)

   チェスター(ジェームス・ランソン)

   ミッキー・オヘイガン(ダイナ)

   ほか

あらすじ

太陽が照り付けるロサンゼルスのクリスマス・イブ。街角のドーナツショップで一個のドーナツを分け合うトランスジェンダーの二人。28日間の服役を終え出所間もない娼婦シンディーは、自分の留守中に恋人が浮気したと聞きブチ切れる。歌手を夢見る同業のアレクサンドラはそんな親友シンディをなだめつつも、その夜に小さなクラブで歌う自分のライブのことで頭がいっぱい。さらに、彼女たちの仕事場の界隈を流すアルメニア人移民のタクシー運転手、ラズミックも巻き込んで、それぞれのカオティックな1日がけたたましく幕を開ける!

映画『タンジェリン』公式サイト

予告編

youtu.be

 感想

すご~く雑な言い方をすると「特に何も起こらない系」の映画

f:id:syrup23g:20181108234636j:plain

クリスマスのストリートでの出来事を題材にしている。街娼やタクシードライバーを生業にしている登場人物たちには、ホリデーだろうといつもどおりの仕事が待ち受けているという現実がありつつ、客からは「クリスマスなんだからおまけして」「クリスマスだから多めにみて」家族からは「クリスマスなんだから家族と過ごそう」などと求められて、台詞から浮かれた世間との温度差を感じる仕立てになっていた。

小売・サービス業界で働く者のはしくれとして、ホリデーシーズンというか日本で言う盆暮れ正月に「いつもどうり」の業務を続けるわびしさは感じるものがあったよ。人生において家族がいないから・パートナーに浮気されてるから・安定した職業ではないからといって、人としての資質が欠落しているということは建前としてはないはずなんだけど、よくわからない世間体の前でこっちが逆に透明人間みたいになってしまう瞬間があるよな。

プロの技術に裏打ちされたホームメード映画

f:id:syrup23g:20181108234029j:plain

思っていたことを言語化したら、頭の中で考えているときよりも二割増しでボヤキが入った文になってしまった。いかん、こんなはずではなかったのに。気を取り直して、映像の見た目について書いてみよう。映像の色調が彩度高めで、iPhoneの「クローム」フィルターとかちょっと前のインスタのフィルターみたい。トイカメラみたいなの鮮やかな色合いの映像で他とは違う風合いをだしつつ、音質と画角は普通の映画サイズでストレスなく見れる。事前情報なく観たのであとでぐぐったインタビューによると、音質にはプロ仕様でこだわって、画角はスタンダード映画サイズでの撮影を可能にする外付け型レンズを使用したんだって。私は(もちろん)ただの映画にわかギークで、製作側ではないのでまったく知らなかったんだけど、世の中には色々な便利ガジェットがあるんだねぇ(小並み感)*1

タンジェリンってどんな意味

f:id:syrup23g:20181108233828j:plain

映画の中でタンジェリン(オレンジ)が直接的に出てくるのは一回だけ。アレクサンドラがラズミックに、車用の芳香剤をプレゼントするのだけれど、これがオレンジのモチーフなのだ。クリスマスオレンジという品種の柑橘類が北米で広く売られていて、日本ではこたつにみかんぐらい欠かせないものとなにかで読んだことがある。クリスマス精神とか、人に少し誠実に接することの象徴なのかな。

『フロリダ・プロジェクト』を観たときも思ったが、ショーン・ベイカーの映画に出てくる人物はよく歩く。あんまりお金持ってない感じの若者や、子供が画面の右側からずーっと左側まで、郊外の道路をずーっと歩いていくのを俯瞰でとらえているのだ。文字通りのストリート目線。

スペイン語のことわざで ”Tu eres mi media naranja” (あなたは私のオレンジの片割れ)というものがある。中退した大学で第二外国語スペイン語の単位を落としたくらいだから、ポピュラーなことわざなのか、それとも死語同然なのか詳しいことは分からないのだが。ちなみにスペルも怪しかったんでもちろんコピペしました。本来は「分かちがたい恋人・運命の人」への愛情表現だと思うけれど、シンディとアレクサンドラの関係や、タイトルを見ると、このことわざが思い出される。いや、愛だよね...みたいな。ラストシーンにつながる話になるので詳しくは書かないけど、長い一夜のあとでいろいろあったけど友情はアツいよね、みたいなシーンがある。「性愛の関係はないけれど深い愛で分かり合ってる特別な友人」系の話に弱いので観てよかったなあと思った。記事タイトルには短い言葉で「ぼっちだけど何か?」って書いたけど「交際契約とか婚姻とかしてないけど私は私をあなたはあなたの人生を生きていくわけで、そのうえでいろいろ笑い飛ばせる気の置けない友人がいるのも悪くないでしょ?どや」みたいな印象でした。いや~~熱いな~~~広義の愛。ていうかもう普通に愛。

 

『タンジェリン』:ショーン・ベイカー監督インタビュー - i-D

追伸

f:id:syrup23g:20181108233901j:plain

ガソリンスタンドで自動洗車しながら、車内でブロウジョブされるシーンはまじで天才だと思った。チン子を吸ったり吸われたりしてるシーンってわりとまぬけだと思うんだけど、これはMost beautiful blow job scene I've ever seen. 読者の皆さんは何言ってるかわからないと思うが、かくいう私も自分で何を言ってるかわからない。とにかく圧倒的なセンスが爆発していた。このシーンだけで観る価値がある。と思う。ちなみにチン子そのものとか、映倫のまぬけなモザイクはでてこないです。

 

風が吹けばヤクルトが品切れ?王道青春ラブコメ『好きだった君へのラブレター』感想

f:id:syrup23g:20180919185849j:plain

概要

スタッフ・キャスト

監督 スーザン・ジョンソン

脚本 ソフィア・アルバレス

原作 ジェニー・ハン "To All the Boys I've Loved Before"

出演 ラナ・コンドル(ララ・ジーン)

   ノア・センティネオ(ピーター・ケヴィンスキー)

   ジャネル・パリッシュ(マーゴ)

   アナ・キャスカート(キティ)

あらすじ

ララ・ジーンはロマンス小説が好きな高校生。学校での自分は「目立たない」と思っている。好きな人が出来るたびにラブレターを書いてはこっそり保管していたが、そのラブレターが全員に届いてしまうことに。そのなかには初恋の人である姉の元彼も含まれていた。事態を打開するため、自分とは正反対な運動部の同級生と偽の交際契約を結ぶことにするが...

予告編


To All The Boys I've Loved Before | Official Trailer [HD] | Netflix

感想

王道な学園もののラブコメ

いやもうね、私は弱冠24歳なんですけど「学園モノ」とか「ティーンズラブ」みたいなジャンルがだんだんキツくなってくる年頃なわけですよ。このジャンルが悪いというわけではなくて、高校生だったのも8年か9年ぐらい前なので「誰と一緒にランチを食べるか揉める」とか「学校こそが世界のすべてで、狭いコミュニティゆえに交際関係のゴシップは一瞬で広まる」とかそういう「学園もの文法」にいちいち「ターゲット層じゃない感」を感じて集中できないわけですね。こないだも菅田将輝めあてに『溺れるナイフ』見ようとしてリタイアしたし。

そんなわけで、この『好きだった君へのラブレター』もタイトルだけ見ると甘々成分全開な感じです。twitterで話題になっていなかったら観なかったかも。しかし、心配は無用でした。率直だけど思いやりのある物言いと彼氏の陰に頼らずトラブルを解決し、やばそうなフラグはがんがんへし折っていく行動力が素敵。一言で表すなら「守ってあげたい系女子」じゃなくて「自分のケツは自分でピカピカに拭く系女子」。うーんコレコレ!という感じです。そんなしっかり者だけど恋愛とは無縁だった彼女がフェイクとはいえ「恋愛ごっこ」を演じているギャップが面白いのです。

ストーリーは超王道なラブコメです。手紙を送った一人で「付き合ってるフリ」をしてるフットボール部のイケイケ男子はわりと早い段階でララ・ジーンのことが好きになり、初恋の人である姉の元彼にもうっすら心を寄せられている。最初はララ・ジーンとピーター・ケヴィンスキーの両方に「忘れられない人」がいて、気を引くための「二番目」だったんですが、緊張する「初恋のあの人」より「気軽に話ができる親友ポジションの二番目」にいつまにか恋に落ちてしまうのもラブコメあるあるですよね。

キスシーンのビデオが流出してしまい、あらぬ噂を立てられたりプリントアウトした画像をロッカーに貼られるといったトラブルもありますが、「13の理由」の登場人物全員にあたたかい洋服と美味しいご飯を食べさせたようなやさしい世界観なので深刻なイジメに発展するようなこともありません。

「ドリーム彼氏」ことピーター・ケヴィンスキーもララについて「君の方が本音で話が出来るし、オシャレ」と評している。あからさまに元カノサゲをせず、生まれつきの容姿より内面やセンスを褒めるピーター、分かってるな!「元カノは可愛くないし」なんて言われた日にゃあ、反応に困りますからね。ダーク成分はかなり抑えめですが、ほっこりしたい気分のときにおすすめな映画です。

f:id:syrup23g:20180919215313g:plain

ララがネットで買ったアーミーブーツを「あの靴、オシャレだったよ」というピーター

 

生意気な妹キティこそMVP

f:id:syrup23g:20180919205232p:plain

週末を毎日ひとりで過ごす姉を案じて、姉が書き溜めていた妄想ラブレターを勝手に投函した妹キティ。だいたい妹ポジションだと生意気で遠慮はないけど真髄をついたことをポンポン言う、みたいな役回りが多いと思うんですが、キティも例にもれずこのタイプです。

リアルに妄想ラブレターを投函されたら恥ずかしくて地球の裏側に引っ越したくなるかもしれませんが、ここはラブコメ・ワールドゆえ、問題ありません。小さなトラブルがドタバタと幸せを呼ぶのです。今回はラブレターの宛先のひとりにのちの恋人であるピーターが含まれていたので実質的な恋のキューピッド(たとえが古い)はキティということに。そのほかにも「コリアンヨーグルトスムージー」がどこに売っているのかピーターに教え、9歳なのにパパをチェスで打ち負かし、ララジーンが捨てようとしていたピーターのからのラブレターもすべて別に保管。トンデモナイが、面白いし、よくできた妹である。三姉妹の長女でララジーンの姉もちょろっと登場するものの、スコットランドの大学に進学したのであまり実家に帰省できず、この映画の脚本を成り立たせているのは実質この妹。母を亡くし、だれかと深い関係を築くのを怖がっていた姉に一歩踏み出させたのもこの妹。現実世界の(私の)妹なんかせいぜい勝手に私の洋服を着ていくくらいなのになあ。まあそれが現実ってもんですよね。

f:id:syrup23g:20180919223038j:plain

「土曜の夜に妹とドラマの一気観してるの悲しくない?」という台詞を作るNetflix様 余裕のポーズ

f:id:syrup23g:20180919225954j:plain

f:id:syrup23g:20180919230018j:plain

f:id:syrup23g:20180919230148j:plain

クジャク色の壁が素敵

「コリアンヨーグルトスムージー」ことヤクルト 

f:id:syrup23g:20180919224913g:plain

劇中にはララ・ジーンの好物である“韓国製のヨーグルト・スムージー”として登場し、正式名称は紹介されないものの、形状や色などは明らかに「ヤクルト」だと視聴者の間で話題となった。

アジア圏でも広く販売されている同商品は、アメリカ国内のアジア系スーパーなどでも取り扱いがある店舗も。劇中でピーターが試し飲みするシーンなどが話題となり、「飲んでみたい! 」とアジア系スーパーに駆け込む視聴者たちが続出した。ツイッター上では「いつも行くアジア系スーパーに行ったら、ヤクルトが品切れしていた」、「懐かしくなってつい買いだめしてしまった」などの報告コメントが相次いでいるほか、米経済メディア、ブルームバーグまでもがこの現象に着目し、顕著な経済効果として取り上げるまでになっている

「ヤクルト」が海外で人気に!映画『好きだった君へのラブレター』が影響 - フロントロウ

netflixでヤクルトを見かけたり、アメリカでヤクルトが爆売れする日が来るとは。もっとも、ラティーノ・コミュニティの間ではポピュラーな飲み物として認知されていて「いまさら?」と言っている声も。今回のヒットは偶然だったにせよ、ちらっと写り込んだだけでこんなに認知されるなんて、コンテンツマーケティングの可能性って無限大だよねえ。(マーケティングについて何も知らない人の感想)

アンチ・ホワイトウォッシング

原作小説を書いたジェナ・ハンは映画化にあたり「ヒロイン役の俳優はアジア系」という条件を譲らなかったそう。*1

アジア系の表象を見慣れている日本だと「ヒロインがアジア系」というのは特段珍しくもないんですが、北米では原作ではアジア系の設定である役に白人が起用されるホワイトウォッシングがたびたび起こったり、アジア系の俳優は「従順でおとなしい」「空手が得意で特殊能力を持ったファイター」というようなステレオタイプな役柄にしか起用されなかったりという問題があります。

前者だと映画『アロハ』で中国系のルーツを持つ役をエマ・ストーンが演じたり、『ゴースト・イン・ザ・シェル』の草薙素子スカーレット・ヨハンソンが演じたのは記憶に新しいですよね。後者だと『キル・ビル』のGOGO夕張とかかな。

これらの何が問題かというと、アジア系の表象が少なく偏っていることによりアジア系へのステレオタイプを増強すること、それからマイノリティーの子どもが自分と共通点のある・親近感の湧くキャラクターを見つけられずに過ごしてしまうという点です。twitterや口コミサイトのレビューなどでは、映画やコミックで登場するマイノリティグループに属するキャラクターについて「このキャラが○○でなければいけない必然性がストーリーから感じられなかった」という感想を必ず目にします。最近だと『オーシャンズ8』とか(笑)。

しかし、本来は同性愛者でなければ/オール女性キャストでなければ/アジア系でなければ/アフリカ系でなければいけない理由づけなんてないんですよね。そもそも「マイノリティでなければいけない理由」が必要だと観客が思うことこそが非対称性を示していると思います。より実験的なオリジナル作品を公開しているNetflixはまたしてもグッジョブだね。メジャーな映画だと大きなスタジオほど世界規模での興行成績を狙う事情から白人多めになったり、偉いひとがほとんど白人だったりすることから白人系中心の作品になってしまう傾向があります。才能のあるアジア系の人がちゃんと起用されるのを願います。

社会の変革のために映画をみてるわけではないんだけど私はやっぱりバラエティが多い作品の方が楽しいし、「周縁の人々」とされるキャラクターが出てくる物語が好きだからね。

 

 

Netflix『グッドガールズ 崖っぷちの女たち』GOOD GIRLS シーズン1の感想

f:id:syrup23g:20180824151802j:plain

 

And the good girls go to heaven, bad girls go everywhere

良い子は天国に行けるが、悪い子はどこにでも行ける

by Meat-Loaf

Meat Loaf: Good Girls Go To Heaven (Bad Girls Go Everywhere) [Live] - YouTube

このドラマを観はじめたのは、私のなかで特別に思い入れがある作品であり、何年か前にNetflixに加入したきっかけでもある『オレンジイズニューブラック』の最新シーズンを観終わってしまった8月初旬。オレンジ~は基本的に年に一回、6月か7月ごろに新シーズンが配信されるのがこれまでのパターンだった。ああまた一年待たなければいけないのか...という海外ドラマ欠乏症の離脱症状?を収めるべく、新しいドラマ(できればコメディで、内容は重すぎないけど皮肉が効いていて、飽きないやつ)を探していたときに「後で観る」リストに入れたきり存在を忘れていたこのドラマを発見したのであった。ここまで前置き。そんな経緯からなんとなく見はじめたドラマだったけれど、なかなか良かった。

概要

『グッドガールズ 崖っぷちの女たち』(原題:Good Girls)は2018年放送のアメリカのクライムコメディ・ドラマのTVシリーズ。2018年2月にアメリカのTV局NBCで放送され、2018年7月からNetflixで国際的に配信されている。

Amazon プライムビデオで配信されているTVドラマシリーズ『グッド・ガールズ!~NY女子のキャリア革命~』(原題:Good Girls Revolt) とは無関係です。

スタッフ・キャスト

制作 ジェナ・バンズ

出演 クリスティナ・ヘンドリクス(ベス・ボーランド

   レッタ(ルビー・ヒル

   メイ・ホイットマン(アニー・マークス)

   レノ・ウィルソン(スタン・ヒル

   マニー・モンタナ(リオ)

   リディア・ジュリエット(サラ・ヒル

   イジー・スタナード(セイディ・マークス)

   マシュー・リラード(ディーン・ボーランド

   ほか

予告編

 

あらすじ

 郊外に住む3人の母たちはそれぞれ異なった事情から経済的に厳しい状況にあった。シングルマザーのアニー(メイ・ホイットマン)は一緒に暮らす子どもの親権を巡って元夫から訴訟を起こされるはめになり、弁護士費用の工面に困っていた。腎臓疾患で移植待ちの娘をもつルビー(レッタ)の場合は、多額の医療費が家計を圧迫していた。アニーの姉のベス(クリスティナ・ヘンドリクス)は自動車販売会社を経営する夫を支える専業主婦だったが、夫の浮気と多額の借金の存在が発覚。八方ふさがりな現状を打破すべく、勝手を知っているアニーの職場のスーパーにおもちゃの銃を構えて強盗に入る。ただのスーパーの金庫に予想外に多額の札束が保管してあることに驚く3人。実は地元のギャングがドラッグで稼いだ金の資金洗浄に使っていたのだ。ギャングの息がかかった金を盗んだ3人に思わぬトラブルが襲いかかる...

 感想

 『ブレイキング・バッド』×『デスパレートな妻たち』+貧乏風味らしいよ

 ...というのはデータベースサイトIMDbのユーザーレビューより。他には「映画『テルマ&ルイーズ』っぽい雰囲気」と言ってる人も何人かいた。『デスパレートな妻たち』は未見なのでわからない。『テルマ&ルイーズ』とは「女性が主導権を取り戻すために盗みをする」というコンセプトの共通点はあるものの、逃避行やロードムービー的要素はないからあんまりかな。『ブレイキング・バッド』の初期シーズンのころの、やることなすことがいかにも「はじめて重大な犯罪に手を染めた素人」くさくて、観ているこっちが落ち着かないあの感じに近い。かくいう私もドラマを観すぎているただのパンピーなんだけれど。「医療費がかさんで違法な金儲けに手を出すしかない」「身内に警察官がいて隠しとおさなければならない」「一般市民なのにギャングと渡り合う必要あり」「真面目だったキャラが犯罪の快感にのめり込み、モラルがないように見えたキャラの方が引いてる」など細かい設定も似てるっちゃ似てる。この類似点が気に入らないIMDbレビュアーのなかには、"Breaking Bad" をもじって”Imitating Bad"というタイトルを付けている人もいたりして笑ってしまった。Imitating Bad, 訳すとしたらパクリ・バッドかな。主役が子育て世代で生活感ありまくりなズッコケ3人組という脚本のおかげで、露骨なパクリというほどではなく楽しめた。

 犠牲を払うのをやめ、立ち上がる女性への讃歌

f:id:syrup23g:20180825122836j:plain

オーシャンズ8』がひたすらゴージャスで浮世離れした、「復讐」のためだけに宝石を盗む女たちなら、『グッドガールズ』は踏みつけられる足をはねのけ、力を取り戻す途上にある女たちの物語なのだ。彼女たちが盗みに入ったのはメトロポリタン美術館じゃなくて警備がガバガバな郊外のスーパー。「すべて奪われるのを黙って見てられない 自分たちで乗り切るの(ベス)」「すこしでもいいから私の話を聞いてくれないわけ?(ルビー)」という台詞は彼女らがおかれた状況を代弁するものである。覆面を被って強盗するスリルを味わっても、どん底の状況から一夜にして抜け出せるわけではない。強盗のその後も続いていく人生の話として良かった。

 I'm sorry for...

f:id:syrup23g:20180825122815j:plain

強盗をしたあとも医療費がまかないきれず、ダイナーで働きつづけるルビーは客の男子高校生とその母親に軽いやけどをしたせいでクレームを入れられ、店長に謝罪を強いられる。長くなるので割愛するが、この子どもがスポイルされて育った、暇つぶしに店員に絡む「いかにも」なドラ息子で神経を逆なでするのだ。我慢の限界に達したルビーはこの台詞で一矢報いる。

「お気の毒に。あなたは品性にかけた愚か者で、サービス業の人に敬意を払えないかわいそうな人よ。自分の子供を疑いもせず他人に責任を負わせるなんてね。バカ息子を持って気の毒だわ。こんな表面の火傷は軽傷よ。ここに一緒に来てた友達もあなたと同じくらいバカで本当に気の毒よ。こんな奴らが国の将来を担うなんてあきれるわ。言いたいことは以上。」

日本語の台詞で書き起こすとなんだか高飛車な感じだが、信じてほしい。けしてそんなことはない。ルビーはこの直前まで実に忍耐強く接客していて、シーズンを通じて(比較的)良心を持ち続けたタイプだけに、一度だけ発したこの台詞が生きるのだ。派手なアクションもなにもないけれど、名シーンだったと思う。ちなみにこの5秒後に解雇される。

アニー可愛いよアニー

f:id:syrup23g:20180824174435j:plain

真面目なしっかり者で正統派ゴージャスな長女に比べ、小柄でおしゃべりなコミックリリーフポジの次女。この辺の長女・次女像はどこの国でも共通なのか?とおかしかった。シーズン前半のエピソードではやることなすことがすべて裏目に出るんだけど、それでも好きにならずにいられない魅力的なキャラクター。彼女にはまさにHot messという言葉が似合う。ダークリップとグリッターのアイラインという野暮ったさスレスレだけどおしゃれに見えるメイクもまた良い。アニーはフェムタチっぽい雰囲気もあるし、レズだったらけっこうモテると思うんだけど。レビューでは「アニーがイライラする」って書いてる人を何人か見かけたけど、正気か?と思ってしまった(盲目)そういえばジェシー・ピンクマン(ブレイキング・バッド)もめちゃくちゃ可愛いと思ってたな、私...

 設定に多少、改善の余地アリ

ギャング頭のはずのリオはフットワーク軽くベスに会いに来るけど、ギャングの元締めって捕まるのを恐れるはずだから自分から取引先に出向いたりしないで手下を使うんじゃない?とか

最終話でとっさに人質のふりをして逃げるけど、監視カメラの記録からバレなかったのかな?とか

そもそも職場を強盗するのって声や見た目の特徴ですぐ身元がわれそうで最悪と思わなかったのかな?とかとか

疑問点はないわけでもない。

シーズン1の最後はベスがリオと夫に銃を構えて終わる。次のエピソードに含みを持たせた典型的なクリフハンガーなので当然シーズン2もやるんだよね?と思って待ってる。アニーとルビーの金欠は解消されたからあんまりブレイキングバッドする動機がないし、特にルビーの場合は警官の夫にお金の出所がバレてるので足を洗う以外に今後の選択肢は残されていないんじゃないかと思う。前のめりで危なっかしいベスをアニーとルビーが止められるのか?気になることが多すぎるので次シーズンも観るよ。

 

ひそかなお気に入り度 ★★★☆☆
ご飯中に気楽に見られる安心感 ★★★★☆  
打ち切りにならないか心配度数 ★★★★☆

『クレイジー・リッチ!』を観た中国系アメリカ人の記者が語る自身の経験がtwitterで話題に

概要

f:id:syrup23g:20180823181622p:plain

 

"Crazy Rich Asians"(原題) はジョン・M・チュウ監督、コンスタンス・ウーとヘンリーゴールディング主演の、同名の小説を元にしたラブコメ映画で、米国では8月15日公開、日本では『クレイジー・リッチ!』として9月28日に公開予定のアメリカ映画です。日本の配給会社が邦題を決定する際にこの映画の重要な要素である「アジアンズ」をまるまる省いてしまったことにはいまいち納得がいかないのですが、それについてはあとで書くことにします。

中国系アメリカ人でハフィントンポストの記者、Kimberly Yamさんが映画を観たのがきっかけで語った経験の投稿が感動的だったので訳してみました。

 

ツイート 

 私は8歳だった。3年生のクラスが中華料理のデリバリーを頼み、私の父が配達に向かった。私は学校で父に会えることで有頂天になった。彼は私のヒーローだったからだ。しかし他の子どもたちは彼のことをどうも格好いいとは思わなかったらしい。彼らは父のことを笑い、アクセントを真似た。私は中国系であることが嫌になった。

私は9歳で、バレエの合宿に参加していた。他の女の子が私のことを「嫌っている」と誰かが伝えに来た。彼女は私の瞳が「醜い形」をしていると思っているようだ。私はまだその言葉がいかに傷つくか形容する語彙を知らない。それなのに、アジア人の特徴を持つ自分の顔が本当に嫌になった。私は中国系であることをもうやめたいと思った。

 

私は16歳だった。ハロウィーンの季節で、二人の生徒が「アジア人観光客」の仮装をして登校した。彼らはテープで目を吊り上げ、首にカメラを下げ、下手なピースサインをしていた。私は居心地が悪くなった。この仮装を不快に思うか聞かれたとき、私はノーと答えた。

私は周りからつまらない子だと思われたくなかったので、 他の人と一緒に笑った。私は中国系であることをもうやめたいと思った。

私は17歳だった。大学に進学し、他のアジア系の学生に出会った。彼らは私が一度も持ちえなかった誇りを持っていた。ある男の子と出会ったとき、彼は私がなぜ家族と同じ言葉を話せないのか不思議がった。なぜ私の大好物がグリルドチーズで、小龍包じゃないのかとも。私は家族が伝統的な生活をしてこなかったからだと答える。
でも、私はずっと前に文化を拒絶していたことを自覚していた。中国語を話すことをやめ、母の料理を「気持ち悪い」と言っていた。めちゃくちゃだったが、突然ピンと来た。忌み嫌っていた自分自身のルーツを取り戻すのに必死だった。私ははじめて中国系になりたいと思った。

私は20歳だった。過去の数年間、自身のアイデンティティを取り戻すように過ごした。家族の名前をタトゥーにして体に刻んだ。その漢字は永遠にそこにある。私は昔のような思いにさせることを誰にも許さなかった。私は中国系であることを愛していた。
私は25歳だ。すべてのキャストがアジア系の映画をスクリーンで観て、なぜか涙が止まらなかった。このような配役をハリウッドで一度も観たことがなかった。すべての人は美しい。私は中国系であることが幸せ。#CrazyRichAsians #RepresentationMatters

感想

 彼女が一連の経験のツイート群の最後に#RepresentationMattersというハッシュタグを付けているのがすべてだし、それこそがオールアジア人配役であることの意義ですよね。ハリウッドのショービズ業界においてアジア人はキャスティングされることが少なく、ようやく役を手に入れてもネイルサロンの店員やIT業界の男性など「いかにも」なステレオタイプの端役で、メインキャラクターとして出番が回ってくることは少ないという現状*1から変化をもたらす重要な作品になってほしいと思います。

フィクションの表象のなかでマイノリティであることでなかなか存在感を示せないというのは単に映画やドラマでアジア人を見かけることが少ないよね、さみしいね、というだけの問題ではありません。現実の社会において俳優の仕事のチャンスが手に入れられない、そもそも製作会社のメンバーも名門大学出身の白人男性と少しの女性や有色人種で構成されてていて、彼らが自分たちの経験を語るためアジア系は創作に出てこないというさまざまな要因が絡まり合って「アジア人の表象が少ない」問題が発生しているわけです。そこで「これだけ不可視化されている現状があるのだから『自分の経験や考えを表で語るのが大切』」= #RepresentationMatters というもとのハッシュタグの話に繋がるんですよね。

上記のような背景から、アジア系へのエンパワメントとしても評価されている作品なので邦題が『クレイジー・リッチ!』で公開予定である理由がパッと思いつきません。あらすじを読む限りそもそもアジア系のアイデンティティと切り離せない作品らしいので、最悪「クレイジー」と「リッチ」は外しても「アジアンズ」は入れたほうがよかったんじゃないのかな~。九月になったら見に行くけどね。